Readin'

Readin'

仕事のこと、ビジネスに役立つこと、海外事情

外国人家政婦サービス、国家戦略特区で解禁【将来的に本当にメリットがあるか】

f:id:Gincole:20170405123252j:plain

 今月から家庭での家事を代行するために外国人を派遣するサービスが、国家戦略特区で先行的に解禁・開始された。国家戦略特区とは、日本全体で法改正をする前に、先進的な制度や規制緩和を限定的・試験的に行う地域のことで、この外国人家政婦サービスの特区として、東京都、神奈川、大阪で限定的に解禁された。しかしサービスが普及してこれば、全国的に法改正がなされる可能性がある。

 外国人家事代行サービスは主に、女性の社会進出を促すものとして期待されている。掃除、洗濯、買い物、料理などの日常の家事とフルタイムの仕事の両立はとても難しい。家事代行の為の出費が出たとしても、正社員でフルタイムの仕事をこなせる時間が確保できれば、出費分を差し引いてもプラスという計算になる人も多いはずだ。一度その便利さ・快適さが受け入れられ、メディア・SNS等で取り上げられ始めれば、一気に普及していく可能性もある。しかし、いわば外国人労働力が支えて作り上げられた「女性活躍の場」は本当に将来的にメリットとなるのだろうか。

 

アジアでは普及している家政婦サービス

f:id:Gincole:20170405123540j:plain

 実は外国人家政婦サービスはアジアの国では結構当たり前となっている。僕が住んでいた香港では、多くの家庭で主にフィリピンから来た女性を家政婦として雇っている。

 香港特有の風景だが、日曜日なると路上の至る所で、多くの東南アジア系女性が大きな遠足シートの上に集まり座っている。まさにお花見さながらの集まり具合と混み具合だ。最初に見た時は何かイベントでもあるのかと思ったが、毎週の出来事なのでようやく理解した。みんな日曜日は家政婦の仕事も休みになるので、外に出て集まっているのだ。しかし喫茶店やレストランに行くわけではない。基本的に出稼ぎ労働者なので、お給料はほとんど本国へ送金し、香港での生活はなるべくお金がかからないようにしているのだ。だから日曜日に集まってもお金を使わず、シートの上でおしゃべりをしたり、昼寝をしたりで1日を過ごしている。出稼ぎ労働者というのはこうした性質があるので、今後仮に日本が受け入れ数を増やして人口減少を補おうとしても、彼女らが日本の「消費」にまで貢献するかは疑問である。

       f:id:Gincole:20170405124013j:plain

        香港の日曜日に集まる東南アジア系家政婦(写真出典:DIGIMA NEWS)

 

家政婦の便利さは生活する力を奪う

 僕が実際働いていた会社の女性上司もフィリピン女性を家政婦として雇っていた。自宅や時にはオフィスの掃除、買い物、料理に至るまで家政婦の彼女1人が行っていたが、おかげでその女性上司は男性同様のフルタイムで働くことができていた。確かにその女性は仕事も優秀で、男性顔負けの仕事ぶりだった。しかしその上司は掃除や料理はお世辞にも上手とは言えなかった。家政婦を使用している香港人全員に当てはまるわけは無いが、やはり自分でやらなくては掃除や料理といった家事は上手くなっていかない。

 女性は家事が上手くならなくてはならない、というのは差別になってしまうので言うつもりは無いが、男性であれ女性であれ、家事を外国人に家事を丸投げしてしまうと、自分で経験値を積む機会をなくしてしまう。これは将来的な視点で言えば、日本人は自分では家事ができない人ばかりになってしまうのではないだろうか。家の事をするというのは人間的な行為で、生きていく力が問われる。そんな生活力が失われていくのは将来の日本人にとってかなりマイナスなのではないだろうか。家政婦サービスが普及しきった日本で、料理をしなくなった母親からは「お袋の味」は消滅してしまい、掃除・洗濯の仕方を教えられない親ばかりでは何かさみしい未来だと考えてしまう。

        f:id:Gincole:20170405124354j:plain

 しかし人口が減少していき、働き手が常に不足していく日本で、女性の活躍はやはり必要不可欠だ。個人的な意見だが、本当に優秀な女性が能力に見合った仕事を与えられずにくすぶっている。特に地方ではさらに状況は悪く、一度結婚・出産などで一線を離れた女性がその能力・経験を活かせる仕事に戻れることは本当に稀だ。多くは単純作業をこなすパートをするしか仕事の選択肢がないのが現状だ。仮に正社員として再就職できたとしても、家事や育児が理解され優遇されている職場環境は、残念ながら中小企業にはほとんどない。

まず是正すべきは、長時間労働

 そうなってくると、男性の家事参加が必須となってくるが、現状の長時間労働のままでは不可能だろう。僕も仮に東京の大企業で夜遅くまで働いた後に、家事までしっかり参加してほしいと言われたら、多くはこなせないのではないかと思う。まずは、長時間労働をなくすことが第一歩だ。

 感覚的な意見だが、僕らの世代・40歳以下の男性で家事をすることに抵抗がある人は、親の世代と比べて少ない気がする。僕の周りでも、掃除洗濯は手伝うという人も多いし、料理を楽しむ男性も出てきていると感じる。だから長時間労働さえなくなれば、家事に参加するという男性は多いはずだ。僕も自分の会社では、結婚したばかりの部下や子供をもった同僚などには、定時を過ぎれば早く帰るように毎日促している。本当に価値のある仕事のみにコミットして長時間労働がなくなり、男性も快く家事に参加する。そんな未来に優しい女性活躍の土台が作られればと思う。