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仕事のこと、ビジネスに役立つこと、海外事情

【Kickstarter日本上陸】日本の法人も世界に向けてクラウドファンディングが可能に

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 アメリカのクラウドファンディング大手Kickstarterが2017年9月13日から日本でもサービスを開始した。これまで日本からは、プロジェクトに投資し製品を購入することのみ可能だった。しかし日本の法人がプロジェクトを開始するには、Kickstarterがサービスを展開している国(欧米各国、アジアではシンガポールや香港)の住所登録と銀行口座が必要だった為、日本発のプロジェクトはあまり多くなかった。

 

 今回の日本でのサービス開始で、日本に住所があり銀行口座を持つ人ならだれでもプロジェクトを開始することができるようになる。これをきっかけに、多くの日本発のプロジェクトが立ち上げられるようになるだろう。

 

クラウドファンディングとは 

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 日本でもだいぶ浸透してきたクラウドファンディング。クラウドファンディングとは、ネット上で不特定の人から、自分の立ち上げたプロジェクトに投資をしてもらい、資金を集めることである。アメリカのKickstarterやIndiegogoはその場を提供する、2大プラットフォーム(サイト)である。これらのサイトには、様々なプロジェクトが存在しており、毎日新規のプロジェクトが世界中から立ち上げられている。

 

 立ち上げられるプロジェクトは、基本的に新規性の高いものが多い。現在市場に無いような製品やサービスが多く、だからこそ支援を募って資金を集め、製品を世に送り出そうと言うのが本来のクラウドファンディングの趣旨である。

 

 日本ではサイバーエージェントが運営するマクアケが有名だ。こちらでも今まで市場に無かった新規性の高い製品の開発や、社会性の高い事業がプロジェクトとして立ち上げられている。中には、数千万円の資金を集めることに成功したプロジェクトも存在する。

 

 マクアケ内のこちらのプロジェクトは、3,600人以上に投資支援を受け、1,800万円もの売上を達成したプロジェクトだ。それまでなかった、「バーのような氷」を簡単に作れる製氷トレイだ。ニッチなターゲットに絞っているようだが、これだけ多くの購入者を上げるということは、マクアケの市場が大きく多様なニーズがあることがわかる。 

自宅にバーのクオリティを【ポーラーアイストレイ】

  

 

なぜクラウドファンディングがウケているのか

製品の魅力

 なぜ多くの人がクラウドファンディングを利用するのか。まず、プロジェクトが目標金額を達成した際に、投資してくれた人に対価として渡される製品に魅力がある。今まで市場に無かったが、こんな製品があればいいのに、といったニーズを満たす製品や、最新の技術を使った今まで見たことの無いような製品など、新規性の高い製品が多い。

 

割引価格で買えるお値打ち感

 またほとんどの製品が、販売開始された際の小売価格より、割引価格で購入することができる。製品やサービスの作り手がプロジェクトを立ち上げることが多いため、クラウドファンディング上では、流通がマークアップする分を差し引いた卸価格で製品を販売するメーカーが多いのだ。お値打ち感を出してより多くの人に出資してほしいという考えだろう。

 

 つまりクラウドファンディングで立ち上げられているプロジェクトの製品は、新しくかつお値打ちな製品が多いため、多くの人が購入するのだ。

 

 

クラウドファンディングで製品を購入するリスク

 既にクラウドファンディングを利用した事がある人は分かるかもしれないが、クラウドファンディングで出資をして、製品を購入するのにはいくつかリスクが存在する。

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プロジェクトの失敗

 まずは、プロジェクト自体が目標金額の出資を集めることができずに、失敗に終わるケースだ。自分が気に入って出資をしていたプロジェクトが失敗すると、基本的には製品の製造やサービスが開始されず、白紙になるのだ。その際はお金は返金されるが、自分が気に入って応援していた製品は、もしかしたら世に出ることがないかもしれない。

 

なかなか製品が届かない

 プロジェクトによっては、出資を得たら製品を製造するための設備等に投資したり、材料購入に資金を充てるというものもあり、実際に製品が製造され手元に届くまでに数カ月以上かかるというケースもざらである。特に海外のプロジェクトに出資して、製品が海外から発送されるケースでは、輸送にも時間がかかるうえ、自分のオーダーが製造・発送のどの段階なのかも把握しづらい。商品が届くまでやきもきしながら待つなんてことも起こり得るので注意が必要だ。

 

購入後のサポートが無い

 市場で販売されている製品のメーカーなどと違って、クラウドファンディングでのプロジェクトは、一般人やプロジェクトのために組まれたチームがプロジェクトを立ち上げていることもある。そのため、プロジェクトが終了して数年後にそのメーカーやチームが存続しているかどうかは疑問だ。仮に電化製品などを購入して数年で壊れてしまった場合や修理を依頼したい場合などに、サポートが受けられない可能性もある。

 

 もちろん、一般企業もプロジェクトを立ち上げているので、その場合は数年後も企業の事業として製品の製造を継続しているだろうし、問い合わせも可能だろう。しかし、常に販売している通常のECサイトと違い、基本的には期間限定のプロジェクトとして出資を募っているので、プロジェクト終了後の長いスパンでのサポートという点にはリスクが存在している。

 

 

クラウドファンディングは中小企業やベンチャーにとってチャンス 

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 しっかりニーズを掴むことができれば、多くの人から購入してもらえるチャンスのあるクラウドファンディング。プロジェクトのサイトの構築も非常に簡単で、トライする壁が非常に低いのが魅力的だ。既に製品を開発しており、マーケティングするばかりの企業にとっては、ローリスクで大多数にリーチすることができるかもしれない非常に良いチャンスだ。宣伝広告になかなかお金をかけられない、中小企業やベンチャー企業はぜひ取り組んでみるべきだろう。

 

 実際には設定した目標金額の出資を得てプロジェクトが成功した際は、コミッションが運営団体に支払われるが、それは製品の販売価格に入れ込んでおくだけで、その他に費用が発生することもない。まだまだ知名度の低いブランドや、マーケットがあるかどうか分からない製品のテスト販売として活用できるため、多くの企業が参加しだしている。

 

 もともとは、「製品を世に送り出したいが、製造するための資金が不足しているから出資を募る」という色が強かったが、今やほとんど完成している、もしくは完成の目途が立っている新製品の販売の場となっているのが実情だ。出資する側も、製品の良しあしのみで出資するかを判断しており、割り切った購買心理となっている。しかし裏を返せば、製品さえ受け入れられれば、大きなチャンスが広がっているのだ。特に世界中に支援候補者のいるKickstarterの日本上陸は、世界に製品を告知し販売できる非常に大きな機会だ。

 

 

日本企業がKickstarterで成功する為の壁

 世界の多くの人に製品を告知できる大きなチャンスということは、競争も激しいということだ。いたって普通の製品のプロジェクトを立ち上げても、注目を浴びることができず埋もれてしまう。他のメーカーや市場にある製品とは違う、新規性のあり差別化された製品である必要がある。

 

 Kickstarterを覗いてもらえるとわかるが、そのために各プロジェクトは事細かに製品やサービスの説明をしている。下の方までスクロールしないと読み切れないほど、びっしり製品をアピールしている。

 

 こうした競争下で日本の企業が成功するためには、まず英語能力が重要だ。細かな仕様まで明確に説明できる専門性や、長文を書き上げることができる文章力が求められる。また相手を納得させ、購入する気にさせる文章が書けなくてはならない。

 

 また人気のでるプロジェクトほど、本文中に出てくる写真や、トップの製品紹介動画のクオリティが非常に高い。日本でそうしたビジュアル素材を準備する際に、欧米での生活スタイルに自社の製品がスッとマッチしているような写真や動画が必要になってくる。そうした見せ方ができるかもポイントだろう。この辺の準備も多くの企業にとっては難易度の高い壁となってくる。

 

 だがしかし、クラウドファンディングのみならず、海外で製品を展開していこうとしている企業にとって、これらの壁は通常のビジネスにおいても必要なスキルであるはずだ。ぜひ海外展開に力をいれている企業は、Kickstarterを大いに活用し、世界を相手に成功を収めて欲しいと思う。

 

 

Google社 における理想の上司の条件【Forbes Japan記事考察】

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 アメリカ・Google社が同社員を対象に行った調査で「上司となる人に求める8つの条件」が導き出されたという記事を読んだ。(元記事:Forbes Japan)

 記事によると、Googleは以前、管理職を置かないフラットな組織をとっていたが、「その人がいたほうが組織全体のパフォーマンスが高まる上司像」として、社員が策定した8つの条件を満たす管理職を復活させたとのこと。

 その8つの条件は下記のとおりである。これらの条件は僕らのような日本の中小企業にとっても参考となる。

 

 「良いコーチであること」

 「チームを勢いづけ、マイクロマネジメントをしない」

 「メンバーの成功に関心を持ち、積極的に関与する」

 「生産的かつ成果主義である」

 「良いコミュニケーターであること」

 「部下のキャリア開発を支援する」

 「チームのための明確なビジョンと戦略を持つ」

 「チームにアドバイスできる技術的な専門知識を持つ」

 

これら8つの条件は、個人的には大きく分けると4つのポイントに絞れると思う。個人的な意見も交えて紹介したい。

 

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「良いコーチであること」

「良いコミュニケーターであること」

「チームにアドバイスできる技術的な専門知識を持つ」

 これら3つの条件は、部下との「コミュニケーション」に関してである。プロジェクトや部署をマネジメントする上司は、部下と円滑なコミュニケーションが取れなくてはならないということだ。

 「円滑なコミュニケーション」をもう少し考えてみれば、中でも「聴く力」が必要だと思う。話しかけにくく自分の意見や考えを打ち明けにくい上司よりも、オープンマインドであり、意見を述べやすい上司の方が、チーム内の議論は活発になるだろう。上司に聴く力があればチームや部署内の関係性も良くなる。良いコミュニケーターというのは、部下の意見をしっかり聴ける上司だろう。

 さらにGoogle社員にとって上司とは、良いコミュニケーションが取れるだけではなく、部下の挙げた意見や質問に対して「的確なアドバイス」ができる必要がある。その為には、アドバイスができる程プレーヤーとしても先頭を行かなくてはならない。上司個人の技能や知識がチーム内でも突出している必要があるということだ。

 

 

「チームを勢いづけ、マイクロマネジメントしない」

「メンバーの成功に関心を持ち、積極的に関与すること」

 これら2つの条件は、部下にいかに「任せる」ことができるかと僕は解釈した。先に挙げた、“個人能力としても優秀なタイプの上司”は、一方では、自分のやり方が最も早く正確だと考える。経験も豊富なため自分のやり方に自信もあるだろう。しかし時に問題なことは、そのやり方を部下に押し付けることだ。その方が早くて正確だと考えるからだ。

 しかし仕事と一緒にやり方まで設定された部下は、上司の手足に過ぎず、仕事の面白みも味わえない。マイクロマネジメントとは、仕事の進め方に部下の創意工夫の余地を与えないほどの指示のことだ。

 中小企業にはワンマン社長によくある現象だろう。社長の力で会社を成長させてきた経験や実績があるため、社長は部下に全て事細かに指示をしてしまう。

 しかし部下が仕事を通じて成長し成功するためには、仕事を自分のものとして「やり遂げる」しか無い。そしてその為に上司ができる唯一のことは、部下に「任せる」ことだと僕は考えている。Google社員にとって理想の上司は、仕事を任せてくれて、部下の成長・成功を考えてくれる存在ということだ。

 

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「生産的かつ成果主義である」

 これは部下を「評価する力」を述べているのだろう。Googleの社員は、上司に「結果に基づいて評価してほしい」と考えているということだ。そのために上司は、いかに部署やチームの生産性を上げるかということを第一に考えて欲しいと考えている。

 生産的というのは、どれだけ価値を生み出すかということだ。上司自身がどれだけ部署が価値を生み出すかということにコミットする。そして、部下がそれぞれ生み出す価値を測るための明確な基準が必要だ。その基準をもとにフェアに評価する必要がある。部下も評価される基準が明確だからその数字に対して邁進できるのだ。

 

 

「チームのための明確なビジョンと戦略を持つ」

 上司はチームや部署が「どの目標に向かって」、「どのように進むのか」を示さなくてはならないということだ。いかに生産的でありコミュニケーションが取れる人材であっても、「全体の視点」が持てなくては理想の上司とはなれないということだ。なぜならビジョンと戦略は上司にしか設定できないからだ。チーム内の他の誰も、勝手にビジョンを設定することはできない。こればかりは上司が設定し部下に示す必要がある。

 もう少し付け加えるならば、設定するビジョンと戦略は、部下が納得して共同できるものでなくてはならないだろう。そうでなければ、部下が全力で掲げたビジョンの為に戦略に乗っかってくれない。その為には、なぜそのビジョン(目標)で、どうしてこの道筋で進むのかを繰り返し説明する必要がある。「明確な」という部分にはこれくらいのリアリティが存在していると思う。

 

 

 自分自身、上司として、経営に携わる者としてこれらの条件全てを満たせているかはわからない。しかしとても共感できる部分が多く、自分の部下にとってよい上司となるべく自戒のチェックをしようと思う。

 

 

餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?【書評要約】

 

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 この会計や経営の数字に関する本が発売されたのは2006年とかなり前で、初めて読んだのは僕がまだ大学生のころだった。今ではマンガ版が出されるなど大ヒットした書籍だ。当時はまだ経営や会計のことなど何も知らず、会社の儲けの仕組みを理解できていなかった。しかし本書で出てくる仮想の会社と登場人物のストーリーを通して、会計の仕組み、儲けの仕組みを分かりやすく理解できた。

 本書のストーリーは、会社を経営していた父が突然亡くなり、デザイナーの仕事から会社経営を託された由紀が会社を立て直していくストーリーである。経営の事など何も知らなかった彼女は知り合いのコンサルタント・安曇に毎月会計に関するアドバイスを受ける。アドバイスの内容を毎月実行に移し、様々な会社の問題を解決していく。

 今回本書を読み返したのは、会社の若い社員に会社会計の基礎やコスト感覚などを勉強してもらおうと、この本を推薦したからである。経営に携わるようになった今読んでみても、会計や儲けるために重要な事について「わかりやすく」まとめられていると感じた。本書から学ぶべき重要な点を少しまとめてみる。

 

財務諸表の基本とその性質を理解する

 会社経営の指標となる財務諸表。「貸借対照表(バランスシート:B/S)」「損益計算書(P/L)」 「キャッシュフロー計算書(中小企業の場合は資金繰り表の場合もある)」の3つの書類からなる。既に経営に携わっている人であれば改めて勉強する内容ではないが、本書では経営者になったばかりの由紀が一番最初に学ぶべき内容として登場する。

 一般的に言われることだが、「B/S」は会社の資産と負債を左右にバランスさせて表記してあり、資産のほうがの資本の運用形態(お金の使い道)、負債のほうがその現金をどのように調達したかを示している。「損益計算書」とは経営の成績表と呼ばれ、一年間にどれだけの利益を生み出すことができたかを計算するものである。大切なことは、「利益」は差額(引き算)の概念であり、売上高そのものを見ていても「利益」は出てこないということだ。「営業利益」「経常利益」など色々な段階の「利益」が存在するが、全て「売上高」から順々に「費用」を引き算して算出される。そして最後に残る「当期純利益」こそが、会社が真に生み出したい利益である。「キャッシュフロー計算書」は各経営活動における現金の増減を表す。大きく分けて営業活動・投資活動・財務活動による現金の出入りを表し、それぞれの項目内でもさらに細かく現金の増減を確認することができる。

 

「貸借対照表B/S」をスリム化し、収益性を上げる

 由紀が託された会社は赤字を垂れ流す借金企業だったため、銀行の債務担当者に「リストラ」を断行するよう迫られる。従業員を切りたくない由紀は安曇に相談すると、人員整理だけが「リストラ」ではないと教わる。会社のムダをなくすことがリストラの真意であるため、まずは「B/S」で会社の資産に無駄がないかを確認することを教えるのだった。使用していない建物、機械または、動いていない仕掛品や在庫品、これらを処分して現金に換えることがまず行うべきリストラなのだ。こうすることで、利益を生むことに貢献していない余分な資産を処分し、スリムな企業体質で収益性をあげるようにする。また処分した際の現金は、銀行への返済に回すことができたのだった。

 

キャッシュフローで大切なことは「少ない現金を高速で回す」

 「貸借対照表」のアドバイスで不要な資産を処分しリストラを行った結果、由紀の会社は固定費を抑え、儲けを出しやすい企業体質になった。そして由紀は単月の決算で黒字を出すことに成功した。しかし、経理からは支払い現金が不足しているため、借入をしたいと言われる。儲けがでているのになぜ現金が不足するのか?理由がわからない由紀に安曇は「キャッシュフロー」と「儲け」は違うことのレクチャーをする。ここで引き合いに出されたのがお寿司屋さんのネタである。

 

大トロは儲からないがコハダは儲かる 

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  安曇は由紀に「大トロは儲かるか」という質問をする。単価の高い大トロは一見儲かりそうだ。しかし安曇は「コハダは儲かるが、大トロは儲からない」という。ここで注目しなくてはならないことは、資金の回転速度と滞留量である。寿司屋のネタに限らず、会社の在庫品や仕掛品は「現金が姿を変えたもの」である。寿司屋では、大トロは一日に何貫も出るわけではないので、月に一回仕入れて一か月かけて売り切る。一方コハダは安いため一日に大量に出る。よって毎日売れるだけのコハダを仕入れる。すると下の図のような資金の回転速度と滞留量となる。

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 つまり、少ないキャッシュであっても「高速(高頻度)で」回転させることで多くの現金を獲得することができる。反対に利幅のとれる単価であっても回転率が悪いとその分キャッシュが寝てしまい、現金を稼ぐことができない。由紀の会社は、利益の出るコスト構造となったが、仕入れの数が増加してしまい、その分現金が寝てしまっていたために、支払いの為の資金繰りが厳しくなっていたのだ。 

 この「回転率」というポイントは弊社のようなメーカーにとって非常に重要だ。例えば商品の単価を決める時に、その商品がどれくらい回転するか(どれくらいの頻度で出るか)を考慮しなくてはならない。回転の遅い(弊社では足の遅いと呼んでいる)商材は少し単価を上げておかないと、現金に換わって(販売されて)キャッシュを生んだとしても現金が長く滞在していることを鑑みると割に合わない。反対に良く回転する商材は少し単価を下げてでも高回転を維持できるよう努めている。

 

商品の原価を下げるためにも製造の「スピード」が大切 

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 多くのキャッシュフローを生むためには、商品の回転が速くないといけない。現金を寝かせることなく素早く回収し、次の現金を生むため再投入することが大切だ。この「スピード」の重要性は、キャッシュフローの観点のみではない。商品のコスト、つまり原価にとっても重要なポイントだ。

 由紀の会社の工場では、製品を作るための材料や仕掛品として製造途中の製品が山積みにされていた。大量発注で安く材料を仕入れてしまい、必要以上の材料が余っている。また、次工程の製造キャパを考えず、前工程で大量に製造してしまい、結局工程前で留ってしまっている仕掛品が多くあったのだ。「作業費は固定費で一定なので、各工程で作れば作るほど一枚当たりの製造コストは安くなるはず」という考えは経営的には間違っていると安曇は言う。

 

製造現場の人間が最も知っておくべき「管理費増大」の問題 

 自分の会社ですらなかなか理想の製造リードタイムで製造ができているわけではないが、弊社のような中小企業製造業であれば、なかなかシステムが整っておらず、場当たり的に受注した製品を計画無く製造するといった状況ではないだろうか。ましてやSKU数が多いメーカーは特に、各工程の納期の管理は難しい問題だ。本書の由紀の会社のように、仕掛品として長く工程で滞在してしまっている製品も存在する。

 これが経営的に間違っている理由は、滞在している間にも毎日、毎月、管理費がかかっているからだ。本書中で安曇はこれを「雨のなかで傘を持っていない場合に、歩く時と走る時で濡れる量が違う」と表現している。つまり、仕掛品として長く滞在している製品には管理費の雨が降り注いているということだ。仕掛品として留っている間にも毎日管理費が少しずつ加算されているのだ。素早く工程を通り過ぎれば管理費の雨に濡れすぎることはない。この意識を持てている現場の作業員はなかなかいない。しかし製造コスト、つまり原価を抑えるためには、製品は風のごとく工場を通過しなくてはならない。儲かる会社の工場は殺風景だという。滞在している仕掛品がないからだ。

 

ビジネスモデルの損益点を知る

 本書では餃子屋と高級フレンチのビジネスモデルの違いを引き合いに出して、損益分岐点を意識することを紹介している。損益分岐点とは利益が出始める販売数量や売上高を意味する。基本的な損益分岐点は以下の図のように示される。

 

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 本書の例では、餃子屋は単価が低い「薄利多売」のビジネスモデルであり、店舗や皿などの備品、また店員などの人件費といった「固定費」をなるべく掛けないようにして、利益がでる売上高を低く設定している。

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 一方高級フレンチでは、お店の内装や店員などのサービスなどにお金をかけており、固定費は高いが、単価も高く設定されているため粗利も多い。

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 つまり両者のビジネスモデルや、損益分岐点が全く異なるため一概にどちらが儲かるということは言えない。しかし両者はそれぞれ儲けを出すために重視しなくてはならない点が異なるため、それをしっかり実行できるかが鍵となる。餃子屋は回転率が命なので、とにかく回転率を高めることを意識する。一方フレンチは満足度が命なので、高いお金を支払っても満足してもらえるサービスを意識する。両者全く異なる点だが、儲かるためのポイントをそれぞれ押さえることが重要なのだ。

 しかしこれはなにも「ビジネスモデル」や「事業内容」といった大きな枠組みだけでの話ではない。例えば弊社のような製造業であれば、新商品として開発するアイテムの値決めの際に損益点を考えることは非常に重要だ。新商品を開発するためには多かれ少なかれ、投資をしなくてはならない。直接的なコストとしては金型や試作費、開発に携わる人の人件費などが必要となってくる。これらを損益分岐点の表の固定費として考えると、新商品がいくつ売れれば最低限、投資額は回収できるかを判断することができる。これを期間内に回収するためにはいくつ売るべきか、といった販売目標となるのだ。損失を出さず、儲けを出すためにはこの損益分岐点の考え方がとても重要な為、どの立場の社会人にも必須の内容と言える。

 

 今回は読み返して大切だと思った点をまとめてみた。本書では全てのポイントがストーリーを絡めて説明されており、想像しやすく、理解しやすい。経営者のみならず、製造現場の人にもおススメしたい良書だ。

 

日本の人手不足と地方中小企業が取るべき採用戦略

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 人材が不足しているニュースが様々な業界で話題となっている。昨年末の女性電通社員の過労死の大きな原因の一つに、慢性的な人手不足から一人当たりの仕事量が限界を超えていたという指摘がある。最近ではヤマト運輸がドライバー不足などを理由にネットショップの即日配達を辞める決断に至った。また大々的にニュースになることはないが、地方の中小企業でも人手不足は大きな問題になっている。

 さらに地方では人材の高齢化がより進んでおり、人手不足と相まって企業の力が一層衰退していく構造になってしまっている。地方中小企業を経営していく立場にある僕も他人ごとではない。

 

生産年齢人口はバブル期から20年で1,000万人減った

 下のグラフを見てほしい。このグラフは1950年から2060年にかけての日本の人口の推移を表している。15歳から64歳までの働く年齢層である「生産年齢人口」は2015年時点で7,728万人。ピーク時の1995年の8,726万人と比べると約1,000万人、10%以上減った。また、移民政策を打たない限りは、この「働く人口」は今後も減っていくことが確実だ。

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                                  生産年齢人口推移(出典:BizHint HR)

 この減り続ける働き手をめぐって、大企業・中小企業が入り混じっての人材確保競争は、一層激しさを増していくだろう。もともと大企業と比べると、採用活動では不利な立場にある中小企業、その中小企業が今後どのような採用活動を行っていくべきかを考えてみる。

 

大胆で他とは異なる「採用活動」

 採用活動というのもある種、他企業との競争である。企業の採用募集数が就活生の応募数を上回る「売り手市場」な上、優秀でやる気のある就活生となれば、どんな職種のどんな企業であっても採用したいと考えている。そうした人材確保の競争でも、企業の通常の営業活動やマーケティングと同じで他企業との「差別化」が有効な手段となってくる。

 多くの採用活動をする企業はまず一般的に、就職活動サイトへの募集登録や会社説明会を行う。そして面接や試験等を経て採用する人を決める。地方中小企業がこれと同じことを行っていても、何千、何百社ある企業の募集の中で目立つことはできない。そうした状況では、普通ではない大胆な採用方法を取ることで「差別化」し、就活生からの注目を集める必要がある。

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採用活動の「差別化」 大胆に攻める

 一つの例が、ある地方の中小企業が行っていた大胆な採用方法だ。この企業は地方に位置しており、例年は地元の大学や就活生のみをターゲットに採用活動をしていた。しかし少子化や過疎化で、その地方にいる学生の数が減少していることもあり、満足いく募集を得られていなかった。

 そこでまず募集する生徒を地元に限定せず、日本全国から募集をするようにした。また採用活動の際に、全国各地からその企業のある地方までの交通費、宿泊費までを全額支払うことで、就活生が遠方から参加するハードルを下げている。実際の採用活動は1泊2日に渡って行い、夜は企業の社員と就活生全員参加の飲み会が開かれる。採用を担当する社員からすれば、面接時には見えなかった素の人柄を見ることができ、就活生からは社員や企業の雰囲気を体感できる。また一社会人として就活生にアドバイスを与えたり、ざっくばらんに質問を受け付けているそうだ。

 実際この企業には数人の募集に対して、200人を超える応募があるとのこと。他の企業がやっていない大胆で極端な採用活動をすることで、「差別化」が成功している例だ。このように、他の企業が行っていないユニークな採用活動を実施することで、人材確保競争でも自社を差別化し有利に進めることができる。

 

仕事の内容をクリアに説明する

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 中小企業の採用活動で重要なことは、その企業に入社した時に、具体的にどういった仕事をすることになるのかをクリアに説明できるかどうかだ。採用してから新入社員の配属先を決める大企業の「ポテンシャル採用」と違って、中小企業は「営業の○○社担当」や「製造の○○ライン担当」など、採用したい「場」が決まっている場合が多い。採用活動中に就活生に対して、入社後に働く内容をしっかり説明できれば、就活生はその企業で働く具体的なイメージを持つことができる。

大企業の入社前とイメージと実際の仕事内容のギャップ

 大企業での採用活動は、会社の全体的な活動内容を説明することはできるが、入社した後に実際にどういった仕事をするのかは配属次第となる。希望の配属先が異なれば、入社前に思い描いていた働くイメージとのギャップが生まれ、それが早期退職のリスクとなる。

 たとえば、ある大手メーカーで○○という製品開発に携わりたいと望んで就職活動し入社したとしよう。しかし実際には入社後に総務部に配属され、入社前には全くイメージしていなかった働き方をすることとなる。こうしたケースでは、「本当にこんなことがしたかったのかな」という疑念が生まれ、就活中の働くイメージと実際の仕事内容にギャップが生まれてしまうのだ。

 与えたい仕事内容が既に決まっている中小企業は、なるべく具体的に仕事内容を就活生に説明することができる。このクリアな説明が入社後に働き始めてからのギャップを無くし、離職のリスク回避となるため非常に重要だ。

 

社長自らが積極的に就活生と関わる。若手社員を採用活動に関わらせる。

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 自分や周りの企業の経験上、中小企業に入社した新入社員が入社を決めた大きな理由の一つに、「社長についていきたい」と感じたこと「社長自らに熱心に誘ってもらった」という点がある。またそのように語る新入社員が多いことを実感している。採用活動中に会社の魅力やビジョン、仕事内容に対する熱意は、社長が一番語れるはずだし、結果就活生にも良く伝っているようだ。

しかし現実的には社長は最終的な面接のみに参加し、基本的には総務の人間に採用活動を任せる社長も多い。社長も他の仕事が忙しいためなかなか採用活動に時間を割けないでいる。

 しかし中小企業だからこそ、トップである社長と社員や就活生との距離が短く、直接話ができるという強みがある。社長との話から中小企業への入社を決める就活生が多いからこそ、是非社長自らが時間を割いて積極的に採用活動に関わるべきだろう。

若手社員をどんどん採用活動に関わらせる

 また社長と同じく、入社後数経った若手社員も積極的に採用活動に関わらせるべきだ。就活生は若手社員とのざっくばらんな会話を通して会社や仕事内容を理解し、入社後数年たった後の自分の姿をイメージすることができる。また就活生と年の離れた中堅・ベテラン社員が行くよりも、若手社員が行く方が親近感を持ちやすい。

 若手社員を採用活動に関わらせる際は、若手社員の中でも活きの良い社員を活用するべきだ。明るく話す若手社員は良い企業の雰囲気を与えることができる。無理に平等に、若手社員全員を採用活動に関わらせるのではなく、少数精鋭の若手代表社員に採用活動に参加してもらう。

 会社の魅力、仕事の熱意などの面は企業のトップである社長、そして企業の雰囲気や親近感を若手社員が伝えることで、中小企業は採用活動を進めていくべきだろう。

 

ウェブサイトに就職活動専用ページを設ける

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 採用活動をしようとしている企業であれば、自社のウェブサイトでその告知をする必要がある。就職活動をしている学生たちは既にネットネイティブ世代と呼ばれ、インターネットが常に近くに存在してきた世代だ。わからないことはすぐにネットで調べ、またネットを利用した情報収集能力が高い。

 したがって、自分が受けようとしている企業の情報がネットに乗っていなかったりすれば、就活生に対して不信感を与えてしまう。大企業であれば、自社のウェブサイトを整備している企業がほとんどだろう。しかし特に中小企業の経営者の中には、いまだにネットでの情報発信の重要性を理解していない人が意外にも多い。もしくは、重要なことは分かっているが、ウェブサイトの設立や更新するための時間とお金のリソースをなかなか割けないでいる企業も多い。

 特に採用活動に関しては、相手がネットネイティブな20代だ。少なくとも自社のウェブサイトで企業の最低限の情報や、仕事内容などは掲載しておくべきだろう。

 

中小企業である強みを生かした採用活動をするべき

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 大企業と比べるとどうしても給料面や福利厚生面では劣ってしまう中小企業。したがって採用活動ではこうした給料・福利厚生の面にスポットを当てるのは得策ではない。むしろ中小企業だからこそ持ち得る、就職活動生に響くポイントを全面的にアピールするべきだ。例えば、若手のうちから責任のある仕事にチャレンジでき、成長できる環境があるなどの「働きがい」や、残業なしや長時間労働を推奨しない「ライフワークバランス重視」などの面を強調する。

 大企業であれば従業員数も多く年功序列なので、自分の裁量で責任感の大きい仕事ができるまで何年もかかるケースが多い。しかし中小企業の場合は、少人数で一人一人の役割が重要な為、おのずと仕事は責任の大きいものになる。そうした仕事をこなしていくことで社会人としての成長も見込めるのだ。また地方の中小企業には残業の無い企業や、長時間労働の無い企業が多い。

 実はこうした採用活動での中小企業の強みとも言えるポイントは、現在の就職活動生の企業を選ぶ基準に沿ってきている。昨今の長時間労働や過労死がクローズアップされることで、就活生の中でも企業を選ぶ基準として、残業や有休に関する「ライフワークバランス」を重視する就活生が増えてきていることも事実だ。また「成長」や「やりがい」に焦点を当てて就職活動をする就活生は、働くこと、成長することへの意識が高く、優秀な就活生である可能性が高い。

 こうした世間の流れと中小企業の強みを活かしたアピールをすることを採用活動ではこころがけたい。

 

まとめ

  • 日本全体の人口推移では、労働力である「生産年齢人口」がピーク時から2015年までに10%減少。さらに今後減少を続ける。
  • 人材確保競争に拍車がかかるうえ、採用活動においてもともと不利な立場の地方中小企業はさらに厳しい人材確保競争に見舞われる。

その為に地方中小企業は以下のような採用活動戦略を練るべきだ。

  • 他社と差別化された大胆な採用活動を考えるべき。
  • 採用活動では割り当てられる仕事の内容を具体的に説明し、働くイメージを持たせる。
  • 経営者と若手社員が積極的に採用活動に携わるべき。
  • ウェブでの情報発信力を整える。まだまだ未整備の中小企業が多い。
  • 「働きがい」「成長」「ライフワークバランス」など、採用活動における中小企業の強みに焦点を当ててアピールするべき。それは就活生全体の流れに沿ってもいる。

 

【スウェーデン出張記】人口が日本の10分の1でも強い経済 スウェーデン

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 スウェーデンには日本の約10分の1の人口しかいない。しかしその経済には様々な分野で国際的企業を持ち、日本でも良く知られているブランドが世界的に活躍している。どうしてなのか。今回スウェーデンに出張に出て、お客とのやり取りを通して何かヒントを垣間見た。首都ストックホルムでの見どころ、楽しみ方も併せて紹介したい。

 

ストックホルムの楽しみ方

美しい旧市街ガムラスタンの古い街並は「魔女と宅急便」の世界

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 スウェーデンの首都ストックホルムにある旧市街地区、ガムラスタン。石畳の道路やレンガでできた建物は中世の雰囲気が残っており、ぜひ足を延ばしたい観光スポットだ。スタジオジブリの「魔女と宅急便」の舞台ともなっているこの地区は、街中を歩いてみるとまるで映画の中にいるようだ。ストックホルム中央駅から徒歩15分ほどで到着することができる。またもし交通手段があれば高台からこの旧市街を見てみて欲しい。湾の向こう側に美しい街並みを一望することができる。

 

ド迫力な戦艦・ヴァーサ号博物館

 スウェーデンは17世紀、バルト海の覇権を巡って周辺国家と戦争を続けていた。その時代に沈んだ木造戦艦・ヴァーサ号が博物館に展示してある。1961年に海底より引き上げられるまで300年以上海底に沈んでいた戦艦は、腐食が進んだ船だったが長らくの修繕工事を経てほとんどが復元されたとのこと。全長約70mもあるその戦艦が博物館のど真ん中に堂々と展示してある。博物館の中に入るとすぐ、その巨大な船に圧倒される。また船まで数メートルの距離で見ることができるので、当時の細かい装飾などもしっかり鑑賞することができる。

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                ヴァーサ号

 以前に書評したデービットアトキンソン氏の「新・観光立国論」でも学んだが、ヨーロッパの国は観光資源にしっかり予算を割いて修復・整備をしている。価値ある観光資源をその価値を目いっぱい展示している点はさすがだと感じた。博物館には平日の昼間に行ったが訪問客が沢山いた。やはり「新・観光立国論」の通り、日本もこれくらい整備をして観光資源を生かさないと観光客も増えないのかもしれない。


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食してみたい名物フード

 仕事のお客の誘いで連日ディナーをともにしたが、おススメのスウェーデン料理店へ行った。自然の食材を素朴に調理したメニューが多くどれも美味しかった。スウェーデン人はミートボールにはこだわりがあるようで、中でもクリームソースと一緒に調理された一品はとても美味しかった。また北海で獲れるサーモンは新鮮で美味しいし様々な料理に使われている。寿司はスウェーデンでも人気なようで、ストックホルムの街には沢山の寿司レストランや、寿司のテイクアウト店があったが、そこでもやはりサーモンは多用されていた。 

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              名物のミートボール

 スウェーデン独特のフードにReindeerレインデアー(トナカイ)肉の料理がある。注文する前に「独特の風味がある」と告げられたので、いわゆる獣臭がするのかと思っていた。しかし食べてみるとそんなことはなく、とても美味しかった。ローストビーフやカルパッチョのように半分生のような調理法だったのにも関わらず、臭みはまったく感じずむしろ少しさっぱりした味だった。初めて食べるトナカイのお肉だったがまた食べたいと思える一品だった。ストックホルムを訪れた際はぜひ試してみてほしい。

 

人口1000万人未満の国民が各産業分野で活躍するスウェーデン経済

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 スウェーデンの国民人口は全土合わせても950万人ほどだ。東京都よりも少ない人口しかいない。それにも関わらずスウェーデン経済は、製造業からアパレル、エンターテイメントまで幅広い業界・分野で世界に進出している。自動車産業には日本でも見かける「VOLVO」があり、アパレル産業には世界第2位の売上高を誇る「H&M」がある。世界最大の家具ショップ「IKEA」もスウェーデンの企業である。また昨今の世界のミュージックシーンを牽引するEDMやクラブミュージックにはAviciiなど多くのDJを輩出している。ちょっと前まで遡れば世界的に有名なABBAもスウェーデン出身だ。

 どうしてこれだけ人口の少ない国が様々な分野で世界的に活躍できるのか。特筆すべきは、人口1人当たりのGDPと女性の労働参加率だ。スウェーデン国民の一人当たりのGDPは約50,000ドル(2015)で世界第12位となっている。人口が極端に少ない小国や石油国などの特別な国を除けば世界でも第10位に入る。(日本は26位))で世界第13のエンタメ、れば、東京都と同じだけのにも関わらずだまた女性の労働参加率は80%以上となっており(2010年データ)世界でも第3位の女性労働参加率だ。(日本は22位)

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 つまりスウェーデン経済の強さを端的に言ってしまえば、国民一人ひとりがより付加価値の高い労働をし、また多くの女性も労働に参加し価値を生み出していることに尽きる。この2点がこの国の経済の源になっているのだ。これを支えるのは紛れもなく、「価値を生み出すことにコミットした短時間労働」と「男性の家事参加」だろう。お客に聞くとスウェーデン男性は料理を作る人が多いとのこと。女性も多く働いているので、男性も家事に参加する家庭が多い。そして男性が家事に参加可能な職場環境があるということだ。

 確かに経験上、スウェーデン人との仕事は確信を突くストレートなものが多い。無駄なことはせずまっすぐ本題に入り、大事なことに第一に取りかかる。何が本当に価値を生むかを分かっていてそれに集中する仕事ぶりだ。こうした姿勢からまさに、短い労働時間でも付加価値の高い労働をするスウェーデン人の強さがわかる。また僕のお客もそうだったが、バケーションで長期の休暇を取る人が多い。2週間くらいの休みを年に何回か取っており、南欧などの温かい地域に旅行へ行くらしい。そのお客はポルトガルに別荘を持っていた。なんともうらやましい限りだ。しかしこうしたon-offのメリハリも、仕事をする上で重要であり、仕事のときは仕事に集中するというスタイルが付加価値の高い労働となっているのだろう。

 

「H&M HOME」に見るアパレル業界の熾烈な戦い 

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 ストックホルムに本社を置く世界的アパレル企業のH&M。スペインのZARAに次ぐ世界第2位の売上高を誇っている。そのH&Mが今回、家具や雑貨を販売するH&M HOMEをオープンさせていた。フェミニンでスタイリッシュな小物たちはH&Mファッションのコンセプトそのままによくデザインされていた。ZARAがZARA HOMEをやりだして数年経ち、ヨーロッパをはじめ日本でも人気がある。今回のH&M HOMEはこれに追随する形だ。ストックホルムでも最近のオープンだったそうで、ここ数年のうちにヨーロッパやアメリカなどで展開していくのだろう。近い将来日本でも実店舗がオープンする可能性もある。ファストファッションというカテゴリーを創り出し、デザインされた服を安く販売して、一気に成長した同社だが、家具・雑貨のカテゴリーでもデザインされたものをお値打ち価格で販売する戦略を仕掛けてきている。

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                 H&M HOME

 こうなってくると気になるのが、売上高世界第3位につけるユニクロの動向だ。ユニクロはGUなど価格帯の異なるブランドは展開しているが、基本的にはファッション分野に売上が限定されている。仮にZARA HOME やH&M HOMEが好調となれば、ファッション分野にしか売上の無いユニクロとの差がどんどん開いてしまう可能性がある。これは世界売上高で1位を目指している同社には非常に痛手である。そうなればユニクロも近い将来、家具や小物類をあつかうUNIQULO HOME を展開する可能性があるのではないだろうか。非常に気になる動向なので、H&M HOMEの様子も含め今後も注視したいと思う。

 

 働き方改革が求められている日本で、スウェーデン人の働き方、経済の実態は非常に参考になる。ストックホルムには観光ポイントも盛り沢山だったが、仕事の上でも良い刺激を感じ取れた出張だった。

 

外国人家政婦サービス、国家戦略特区で解禁【将来的に本当にメリットがあるか】

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 今月から家庭での家事を代行するために外国人を派遣するサービスが、国家戦略特区で先行的に解禁・開始された。国家戦略特区とは、日本全体で法改正をする前に、先進的な制度や規制緩和を限定的・試験的に行う地域のことで、この外国人家政婦サービスの特区として、東京都、神奈川、大阪で限定的に解禁された。しかしサービスが普及してこれば、全国的に法改正がなされる可能性がある。

 外国人家事代行サービスは主に、女性の社会進出を促すものとして期待されている。掃除、洗濯、買い物、料理などの日常の家事とフルタイムの仕事の両立はとても難しい。家事代行の為の出費が出たとしても、正社員でフルタイムの仕事をこなせる時間が確保できれば、出費分を差し引いてもプラスという計算になる人も多いはずだ。一度その便利さ・快適さが受け入れられ、メディア・SNS等で取り上げられ始めれば、一気に普及していく可能性もある。しかし、いわば外国人労働力が支えて作り上げられた「女性活躍の場」は本当に将来的にメリットとなるのだろうか。

 

アジアでは普及している家政婦サービス

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 実は外国人家政婦サービスはアジアの国では結構当たり前となっている。僕が住んでいた香港では、多くの家庭で主にフィリピンから来た女性を家政婦として雇っている。

 香港特有の風景だが、日曜日なると路上の至る所で、多くの東南アジア系女性が大きな遠足シートの上に集まり座っている。まさにお花見さながらの集まり具合と混み具合だ。最初に見た時は何かイベントでもあるのかと思ったが、毎週の出来事なのでようやく理解した。みんな日曜日は家政婦の仕事も休みになるので、外に出て集まっているのだ。しかし喫茶店やレストランに行くわけではない。基本的に出稼ぎ労働者なので、お給料はほとんど本国へ送金し、香港での生活はなるべくお金がかからないようにしているのだ。だから日曜日に集まってもお金を使わず、シートの上でおしゃべりをしたり、昼寝をしたりで1日を過ごしている。出稼ぎ労働者というのはこうした性質があるので、今後仮に日本が受け入れ数を増やして人口減少を補おうとしても、彼女らが日本の「消費」にまで貢献するかは疑問である。

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        香港の日曜日に集まる東南アジア系家政婦(写真出典:DIGIMA NEWS)

 

家政婦の便利さは生活する力を奪う

 僕が実際働いていた会社の女性上司もフィリピン女性を家政婦として雇っていた。自宅や時にはオフィスの掃除、買い物、料理に至るまで家政婦の彼女1人が行っていたが、おかげでその女性上司は男性同様のフルタイムで働くことができていた。確かにその女性は仕事も優秀で、男性顔負けの仕事ぶりだった。しかしその上司は掃除や料理はお世辞にも上手とは言えなかった。家政婦を使用している香港人全員に当てはまるわけは無いが、やはり自分でやらなくては掃除や料理といった家事は上手くなっていかない。

 女性は家事が上手くならなくてはならない、というのは差別になってしまうので言うつもりは無いが、男性であれ女性であれ、家事を外国人に家事を丸投げしてしまうと、自分で経験値を積む機会をなくしてしまう。これは将来的な視点で言えば、日本人は自分では家事ができない人ばかりになってしまうのではないだろうか。家の事をするというのは人間的な行為で、生きていく力が問われる。そんな生活力が失われていくのは将来の日本人にとってかなりマイナスなのではないだろうか。家政婦サービスが普及しきった日本で、料理をしなくなった母親からは「お袋の味」は消滅してしまい、掃除・洗濯の仕方を教えられない親ばかりでは何かさみしい未来だと考えてしまう。

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 しかし人口が減少していき、働き手が常に不足していく日本で、女性の活躍はやはり必要不可欠だ。個人的な意見だが、本当に優秀な女性が能力に見合った仕事を与えられずにくすぶっている。特に地方ではさらに状況は悪く、一度結婚・出産などで一線を離れた女性がその能力・経験を活かせる仕事に戻れることは本当に稀だ。多くは単純作業をこなすパートをするしか仕事の選択肢がないのが現状だ。仮に正社員として再就職できたとしても、家事や育児が理解され優遇されている職場環境は、残念ながら中小企業にはほとんどない。

まず是正すべきは、長時間労働

 そうなってくると、男性の家事参加が必須となってくるが、現状の長時間労働のままでは不可能だろう。僕も仮に東京の大企業で夜遅くまで働いた後に、家事までしっかり参加してほしいと言われたら、多くはこなせないのではないかと思う。まずは、長時間労働をなくすことが第一歩だ。

 感覚的な意見だが、僕らの世代・40歳以下の男性で家事をすることに抵抗がある人は、親の世代と比べて少ない気がする。僕の周りでも、掃除洗濯は手伝うという人も多いし、料理を楽しむ男性も出てきていると感じる。だから長時間労働さえなくなれば、家事に参加するという男性は多いはずだ。僕も自分の会社では、結婚したばかりの部下や子供をもった同僚などには、定時を過ぎれば早く帰るように毎日促している。本当に価値のある仕事のみにコミットして長時間労働がなくなり、男性も快く家事に参加する。そんな未来に優しい女性活躍の土台が作られればと思う。

 

 

【経験談】大学生になる人へ伝えたいこと、新生活へのアドバイス

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 4月を前にしてもうすぐ大学生という人は、春からの生活にわくわくしている人も多いのではないだろうか。僕が大学を卒業してから10年近く経つが、大学生活を思い返すと、とても濃く自分の人生において大切な期間だったと思う。大学生には時間や自由がたくさんある。高校生の時とは違い、受ける授業やアルバイト先、サークルや部活動、社会参加など、これからの自分の行動は自分で決めることができる。しかし反対に何もしないこともできてしまう。最低限の努力さえすれば日本の大学は卒業できてしまうし、極端なことを言えば、家にずっと居て何もしなくても4年間というのはあっという間に過ぎる。

 大学での過ごし方は今後の社会人人生に大きな影響を与える。それゆえに今この時期に、どのように大学生生活を送るべきかを考えることはとても大切だと改めて思う。今回は僕が自分の大学生生活を振りかって、何かアドバイスできることはないか考えてみた。これから大学生と言う人には参考にしてもらいたい。

 

定量的な目標をもつ 

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 始まりの時期というのはやる気に満ち溢れ、これからの目標を持つ人が多いはずだ。新しい環境の始まり、年の初めなど、新しいスタートを切るときは何かしら今後の目標を掲げよう。春から大学生になる人や次の学年に上がる現大学生は、これからの1年で何かしたいことを思い描いていることだろう。新大学生であれば、「サークル活動で幅広い交友関係をもつ」であったり、「英語の勉強をがんばる」「読書を沢山する」といった目標を持つだろう。

 この目標を持つ時に是非おススメしたいことは、「定量的」な目標を持つということだ。定量的とは、一言でいえば「数字で測ることができる」ということだ。「英語を頑張る」や「読書を沢山する」といった目標は実は、定性的な目標と言われる。これを定量的、つまり数字を絡めて目標にするには、「TOEICの点数を30点伸ばす」や「月に3冊の本を読む」といった目標になる。どうして定性的な目標ではなく、数値目標を設定しなくてはならないのか。

数値で示す重要性

 定性的な目標は、評価が難しいという欠点がある。「英語の勉強をがんばる」という目標は、どれだけやれば頑張ったことになるのか人それぞれとなってしまう。もしかしたら1日5分の勉強で頑張ったと思う人もいれば、3時間やってもまだ足りないと思う人もいるだろう。しかし数字を絡めた定量的な目標は振り返った時に、この1年で本当に目標に向かって行動してきたのかを測る良い評価基準となる。数値が達成できれば、その目標に対して努力してきたということだし、仮に達成できなくてもどう改善するべきかを考えることができる。

 大学生というのは本当に時間がたくさんある。しかしたくさんあるが故に、後で後でと後回しにして行動しないでいると、結局1年というのはあっという間に過ぎるものだ。目標を数値設定すればその数値を達成するために自分で自分を戒めることができる。月に3冊本を読むと決めて1冊しか読めなかったら、「遊びすぎたな」と反省もできる。本を沢山読むという定性目標では、忙しかったけど1冊は読んだなと思ってしまうかもしれない。数字のみが、自分を評価し、また行動を律してくれるよい目標となるのだ。

 

社会との接点を多くもつ

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 多くの社会人が社会に出て思うことがある。「大学生の時にもっと勉強しておけば良かった。」どうしてこう思ってしまうのか。社会に出てみると本当に自分が無知なことに気づかされる。社会の仕組み、経済、政治政党、各地の紛争と原因となる歴史背景など・・・挙げればキリがない。今ですら分からないことだらけである。分からないことに出会う度に、「そういえばこんな講義が大学にあったな」と思い返す。また、学生の時間のある時に本を読むなりしておけば良かったとも思うのである。大学講義のような内容は、社会人になってようやく自分の身に直接関係してくる為に興味関心がより一層出てくる。景気情勢や現在政府がとっている経済政策は、どんな社会人にも関係しているし関心も高いだろう。もちろん大学の講義が全てを教えてくれるとは言えない。だがしかし今仮に、講義に参加できる時間とチャンスがあれば僕は喜んで行くし、講義を受ける姿勢も学生の時とは全く違うはずだ。実際アメリカの大学では社会人を経験した人が大学に入り直すケースが多い。これも社会人を経て勉強の重要性を、身を持って体感したからだろう。

 これは僕が大学を卒業して社会人を10年近く経験しているから言えることで、仮に何も知らず大学生生活をやり直したとしても、同じような大学生生活を送ってしまうだろう。前記したが大学生には自由がある。自由に受講する講義を決めることができ、自分の時間も自由に使うことができる。社会に出てみるまでは興味も持たなかったことに、のちのち興味をもつこともあるので、大学生に「社会に出た時の為の最善の講義をしっかり学ぶように」というのは少々難しいかもしれない。

大学で真剣に学ぶために社会と接する

 だが安くは無い授業料を親に払ってもらい、もしくは奨学金等で自腹をきり大学へ行っているのだし、社会に出てもっと勉強しておけば良かったと後悔するくらいなら、これからの大学生生活で十分にその機会を生かして欲しい。その為の解決策はただ一つ、社会に出ることである。理想を言えばアメリカ社会のように一度社会に出た人でも大学で学び直し、再び社会に出ていく、寛容性があり流動性のある労働市場があれば、大学での学びは最大限に身になるかもしれない。しかし今の日本で、高校を卒業し一度就職してから大学に入り直す、というのは現実的ではないだろう。だから僕が多くの大学生にアドバイスすることはインターンシップの参加である。インターンシップというのは、企業で内容に差こそあるが、基本的にはその企業の業務に携わることができ、企業の中やその業界が見れるとても良い機会だ。実際に社会人と一緒になって働いてみると、期間限定であっても背筋が伸び、問題意識も持つようになるだろう。学生ではあっても、社会人と比べると「自分は何も知らないのだ」ということが分かるだけでも良い。この経験は必ず今後の講義に対するモチベーションに変わる。大学での学びを最大限得るために、大学生であっても社会との接点を多くもって欲しいと思う。

 

深い友人をつくる 

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 大学生になれば、様々な人と交流するようになる。同級生、先輩・後輩といった学校内だけでなく、アルバイトやインターン先の社会人、もしくは旅先の外国人など、交友関係の幅はこれまでと比べてはるかに広くなるだろう。自分と性格が真逆でこれまで付き合ってこなかったタイプの人間とも知り合うことになる。こうした、背景が異なったり、タイプがまったく違う人との交流は、新しい発見や気づきを与えてくれるので、ぜひ幅広く交流したほうがよい。

 しかしあえてここでは、自分の親友と呼べる人と深く付き合うこと、そうした人を大学生活で1人でも良いので作ることをおススメしたい。確かに広い交友範囲というのは大切だ。しかし幅が広ければ広いほど、一人ひとりとの関係は浅くなりがちである。また大学を卒業すれば残念ながら、こうした浅い関係の友人との交流はほとんど無くなってしまう。幅広く交友関係をもつ一方で、親友との交友を深めることにも注力したほうがよい。

親友との関係は大学を卒業しても一生続いていく。

 大学生の時に知り合う友人というのは、深く知り合い親友と呼べる存在になりうる。同じような考え方をしたり、基本的な性格が似ている人が同じ大学に集まる傾向があるからだ。だからこそ心地良く、そもそもの素性が合っているから年を重ねても基本的なところで分かり合える人たちなのだ。

 社会人になり、仮にまったく異なる業種の会社に就職しても、近況を報告したり、お互いに刺激し合うことができる。お互いに家族ができれば家族ぐるみの付き合いにも発展することができる。これは本当に人生を豊かにしてくれる。だから大学生の方は、ぜひ親友と呼べる人と出会い、語り合い、たくさんの時間を共有し、交友を深めてもらいたい。それができる人を、大学生活で1人でもつくることができれば上出来だ。

 

お金に執着しない、貯金は4年間無くてもよし 

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 大学生になればアルバイトをしてお金を稼ぐ人も多い。アルバイト自体は職種によっては良い経験となる。だが単純に、時間を安い単価で切り売っているだけの職種もある。人によっては授業料や生活費を稼ぐ為にアルバイトをせざるを得ない人もいれば、旅行や遊びといった自由に使うお金の為にアルバイトをする人もいるだろう。大学生もお金がかかるものである。

 アルバイトをする理由はどうあれ、アルバイトをする人に伝えたいことは、お金を稼ぐことだけに執着しない方が良いということだ。アルバイトの時給というのは、一般の社会人と比べてかなり割安に設定されている。安い単価で大学生生活の貴重な時間を使ってしまうのは実にもったいない。必要最低限なだけ稼いだら、あとは時間をもっと有効に活用すべきだ。たまに講義そっちのけでフリーターのような生活をしている大学生がいる。稼いだ額を意気揚々に自慢するだろうが、それはその分貴重な時間を大量に費やしているだけであって、同じ時間を勉強や遊びに費やした方が将来にとってはどれほど良いだろうか。

 また、大学生生活で一生懸命貯めた貯金額というのは、社会人になればもっと楽に貯めることができる。したがって貯金をするためにアルバイトをするなんてもってのほかで、大学生の貴重な時間を売って貯金をするくらいなら、その稼いだお金を全て使いきって大学生生活にしかできないことに投資する方がよっぽど良い。

 

少し極端なことをしてみる 遊びの1か月

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 大学生というのは少し無茶ができる期間だ。よくあるのは、1ヶ月間バックパックで世界を旅するや、ヒッチハイクで日本を横断するなど、大学生になるまでの人生ではできなかったこと、考えもしなかったことに挑戦する良い期間である。これまでの自分の枠を少し破る意味で、こうした少し極端で無茶なことに挑戦することを大学生になる人におススメしたい。

 ちなみに僕は友人と「遊びの1カ月」をやりきった。これは決して自慢でも何でもなく、単純に参考例として紹介するのだが、「遊びの1カ月」とは、とにかく遊ぶ予定を1カ月に詰め込めるだけ詰め込んで、途中で妥協は一切無しに遊びきるというものだ。なぜこんなことをしたのかと言うと、大学生の時にふと読んでいたある著名人が本の中で「『学生時代に死ぬほど遊んだので』今はビジネスに集中している(「遊ぶ気にならない」だったかもしれない)」と書いていたのを目にした。僕と友人は「死ぬほど遊ぶともはや遊ぶ気にならないのか」と単純に疑問に思ったのである。当時僕たちはダラダラと遊んでは時間を浪費しており、それを自覚していた。これではダメだと思っていたので、この言葉は何か啓示的だったのだ。だったら実際に体験してみようとなったのである。

やってみたからこそ分かった

 その1カ月は、あるとあらゆる人脈を伝って遊ぶ予定を入れた。飲み会、合コン、夜遊び、アウトドア、とにかく思いつくことは全て計画し、途中で疲れてもやりきろうと誓ったのだ。実際途中から疲れたり、面倒になって遊びをキャンセルしたいと思うこともあった。4日連続で朝まで飲んだ時はもうやめようと思った。だがこれは1カ月限定で、しかもやりきれば遊ぶ気にすらならない境地に至れるという思いで、僕と友人は1カ月遊び切った。

 実際にその直後はもう疲れて遊ぶ気にならなかったが、すぐ数日後には回復しそんな気も無くなった。そして分かったことは、どれだけ遊び尽くしても、少し経てばまた遊びたくなるということだった。つまりその著名人の言葉は僕らにとっては単なる見栄でデマカセだったのだ。

 少し汚点のような例え話だったが、この少し極端な体験は実は思い出にとても残っており、今思い返すと微笑ましく良い経験だったと今でも思う。なにより実際に体験してみないと分からなかったことだ。もしかしたら1カ月もバックパックで旅をしたら全然楽しくなく、旅行なんてもう行かないと思うかもしれない。十分にあり得ることだが、こればかりは実際に体験してみないと分からないだろう。実際に行動してみると何か分かることがある。折角なので大学生活で一回は、こうした少し極端なことに挑戦してみて欲しい。